荒壁塗りWS ~金指原の家~

3月29日(土)、浜松の「金指原の家」で「荒壁塗りワークショップ」を開催しました。
今回は、物置小屋の荒壁を塗りました。



前日の28日、どろこん屋さんから荒壁土が届きました。
三河地方には、生コンみたいに藁と土をあらかじめ調合して持って来てくれる業者さんがあり、どろこん屋さんと呼ばれています。今回は浜松の現場ですが、豊橋のどろこん屋さんから土を持ってきてもらいました。
よく発酵していて、左官屋さんいわく「いい土」だそうです。


どろこん屋さんの持ってきてくれた土に、さらに藁すさを混ぜて使います。
知り合いで田んぼをつくっている人から分けていただきました。


こんな道具で、切ります。


藁を切っているところ。


左官屋さんが試し塗り。
藁も十分入っているし、素人が塗るなら新しい藁を入れないほうが塗りやすいということで、切った藁は本体を塗るときに使ってもらうことにしました。


使うのは金ごて。こて板に土をのせて、コテで小舞に押し付けます。押し付けると反対側に「ムニュ」っと出ます。


みんなで塗っているところ。
素人仕事なので、仕上がりは”まっ平ら”とは行きませんが、案外平らになるものです。
荒壁だったら上出来?


子供たちも、手で押し付け手塗りました。


完成。
浜松では、片面塗り終わったら、その日のうちに裏返しまで塗ってしまうのが一般的とのことです。
そのほうが土壁としては強くなるとか。


泥だらけになりながら、荒壁を塗り終えました。
小舞にかかった時間に比べて、土を塗るのは「あっ」というまでした。
充実感とともに、ちょっと寂しい感じも。

小舞掻きWS ~金指原の家~

2月23日(土)・24日(日)の2日間、金指原の家で「小舞掻きWS」を行いました。
土曜日は、お昼ごろに急に土砂降りの雨。日曜日は風の吹き荒れる寒い2日間でした。
参加してくださったみなさん、ご苦労様でした。



使用材料その1 小舞竹(香川県産)
台湾産の小舞竹よりも安く仕入れることができました。
薬剤処理などのことを考えると、国産品を使いたいところです。
さらに言えば、出所が解っている竹を使いたいところ。
所要量の1/3は、愛知県瀬戸市の山から切ってきたものを、自分たちで割ってつくりました。限られた時間のなかで、この量が限界でした・・・・。


使用材料その2 藁縄(新潟県産)
棕櫚縄を使用する予定だったのですが、小舞竹を購入した竹屋さんから安く仕入れることができたので、藁縄を使うことにしました。
棕櫚縄は、流通しているほとんどが外国産。芯にポリ紐を使っているものもあるそうです。また、染色する際に化学薬品が使われるそうです。


まずは、間渡し竹を、柱・梁に差し込み、貫に釘で固定します。


次に、横の間渡し竹に、縦の小舞竹を、藁縄で固定していきます。


縦が終わったら、横の小舞竹を取り付けていきます。
左の壁が完成した壁。右が作業中。

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小舞竹について

今回の、金指原の家では”竹”についてずいぶん勉強した(つもり・・・)。
そこで、自分の覚書として。


土壁にするということは決めたんですが、正直甘く見てました。
小舞竹でつまづくとは思っても見なかったというのが正直な感想です。
現在の物流システムから言って、ちょっと考えれば解りそうなものなんですが・・・。

まず、小舞竹の原産地なんですが、黙っていると台湾産とか中国産の輸入物がメインということ。
竹なんて、その辺にたくさん生えているので、当然、国産だと思い込んでいた自分が甘かったです。
輸入だから即悪いということではないのですが、輸入品で問題になるのが”薬剤処理”。
これを避けようと思うと、国産しか選択肢がなくなってしまうのですが、問題は価格。
人件費の差ということになるのか、当然国産のほうが高くなってしまいます。

それから、小舞に適した竹と、適さない竹があるということ。
ちなみに、建築学会のJASS15には、「間渡し竹は、しのだけの丸竹、または、まだけの割り竹で、丸竹は径12mm以上、3年生以上の肉厚のもの、割り竹は径40~60mm、3年生以上のものを4~8個に割ったものとする。」となっています。
建築基準法には、竹の材質についての指定は無いですが、割り竹なら「真竹」か「淡竹(ハチク)」、丸竹なら「篠竹」が良いようです。
日本の竹薮に多い「孟宗竹」は、筍がおいしいという理由でたくさん植えられたそうなのですが、繊維が粗く虫害を受けやすいので、使用しない方が良いようです。

次に、竹には伐り旬があること。
真竹の伐り旬は、9月~11月。
JASS15によると12月から2月がそれに次ぐとなっています。
春・夏に伐った竹は、虫害にかかりやすく、夏に切った竹は、色悪く、弾力無く、耐久性が著しく悪いとのこと。
この記述から考えると、台湾の気候は日本の春・夏といったところなので、虫害に対して防腐処理し、竹の材質からも劣ったものといえるのではないでしょうか。
四国の竹屋さんに聞いた話では、国産の竹は伐り旬から3月までの間は薬剤処理しないで出荷していて、4月以降は防虫処理を行っていると言っていました。
ちなみに、孟宗竹の伐り旬は盆明けから1ヶ月程度の間だそうです。

竹を割るときに、専用の道具があるということ。
道具は、この記事を参照。「小舞竹つくりWS ~金指原の家~
そんなことすら知りませんでした。

今回、輸入竹の話に始まり、国産の竹探し、山に入っての竹の伐採・運搬、竹割り(小舞竹つくり)を、運に恵まれ(?)体験することができました。
土壁一枚つくるのに、思いのほか大変なことに気づかされました。
でも、土壁をつくる(その原材料を入手できる環境)が、日本の原風景のような気がして、ますます、その重要性を感じたのでした。

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