羊毛断熱材

ただいま建設中の「金指原の家」では、羊毛断熱材を使用しています。


こんなの。
現場においてあると、思わず寝転がりたくなります。


住宅用の断熱材と一口に言っても、いろいろな種類のものがあって、まだまだ僕の知らないものもたくさんあるのでしょうが、僕の知る限るにおいては、断熱性能、コスト、施工性の面から、この羊毛断熱材が最も優れているのではないかと思っています。
現在、日本国内に羊毛断熱材を供給しているメーカーは数社あり、ウール100%のもの、ウールとポリエステルを混合したもの、リサイクルウールを使用したものなどが販売されていますが、金指原の家では、コストと施工性から、ロールタイプの「ウールブレスV-60」という製品を使用してみました。バージンウール70%とポリエステル繊維30%が混合されたもので、これが21mのロールになって現場に搬入されます。
つきつめればバージンウール100%の製品を使いたいところなのですが、製品決定にはいろいろなハードルが存在するもので、その落ち着きどころがウールブレスV-60といったところです。

この羊毛断熱材、既に購入した一部は上棟のときに屋根に挿入済み。(こちら参照
今回は、残りの分を壁に入れます。
ところが、金指原の家は真壁土壁なので、断熱材が入るスペースはわずかしかありません。そこで、60mmの断熱材を半分の30mmに割ることにしました。
そもそも、「土壁に断熱材を入れるべきなのか否か?」散々迷ったのですが、とりあえず公庫基準の断熱性能は満たしておくほうが良いだろうということで、壁の熱貫流率1.29W/m2・Kを満たすには、どうしても断熱材を入れなければいけないという結論になったというわけです。(ちなみに、今回の仕様で壁は0.899W/m2・K)

私的には、断熱材を入れるのは不本意なのですが、実際に住む人に不便を押し付けるわけには行きませんので・・・。

で・・・
今回、断熱材を半分にする作業を行いました。

厚さのだいたい半分のところを狙って、2つにはがしていきます。
グラスウールでは、100%不可能です。
簡単にはがれます。・・・が、油断をするとすぐに片方が薄くなるので、気にしながらはがしていきます。

21mのロールが、だいたい1時間弱で半分の30mmになりました。

また、ロールにしておいておきます。
お施主さんと僕の共同作業でした。


金指原の家では、羊毛断熱材を使用したので60mmの断熱材を30mmに割るということができました。(それも、自分達で)
住宅で一般的に使用されているグラスウールでは、到底、無理な作業です。
グラスウールやロックウール断熱材は安価で断熱性能は高いのですが、さまざまな問題も指摘されています。また、施工方法が悪いと断熱性能を発揮できないばかりか、住宅に悪影響を及ぼしたりします。

住宅性能評価の検査でハウスメーカーさんの住宅を検査にいくと、マスクをして完全装備でグラスウールの施工をしている大工さんを目にすることもあります。
”安くできれば、施工をする人間にどのような材料を扱わせてもいいのか?”と感じると同時に、”施工する人が健康に不安を感じないで施工できる材料でなければ、健康に生活できる住宅はつくれない”と思います。

健康に暮らせる家・・・、大きく出れば循環型社会や持続可能社会に向けて、使用する材料ひとつを選ぶことにも、社会的責任を持たなければいけないと感じます。

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