小舞竹について

今回の、金指原の家では”竹”についてずいぶん勉強した(つもり・・・)。
そこで、自分の覚書として。


土壁にするということは決めたんですが、正直甘く見てました。
小舞竹でつまづくとは思っても見なかったというのが正直な感想です。
現在の物流システムから言って、ちょっと考えれば解りそうなものなんですが・・・。

まず、小舞竹の原産地なんですが、黙っていると台湾産とか中国産の輸入物がメインということ。
竹なんて、その辺にたくさん生えているので、当然、国産だと思い込んでいた自分が甘かったです。
輸入だから即悪いということではないのですが、輸入品で問題になるのが”薬剤処理”。
これを避けようと思うと、国産しか選択肢がなくなってしまうのですが、問題は価格。
人件費の差ということになるのか、当然国産のほうが高くなってしまいます。

それから、小舞に適した竹と、適さない竹があるということ。
ちなみに、建築学会のJASS15には、「間渡し竹は、しのだけの丸竹、または、まだけの割り竹で、丸竹は径12mm以上、3年生以上の肉厚のもの、割り竹は径40~60mm、3年生以上のものを4~8個に割ったものとする。」となっています。
建築基準法には、竹の材質についての指定は無いですが、割り竹なら「真竹」か「淡竹(ハチク)」、丸竹なら「篠竹」が良いようです。
日本の竹薮に多い「孟宗竹」は、筍がおいしいという理由でたくさん植えられたそうなのですが、繊維が粗く虫害を受けやすいので、使用しない方が良いようです。

次に、竹には伐り旬があること。
真竹の伐り旬は、9月~11月。
JASS15によると12月から2月がそれに次ぐとなっています。
春・夏に伐った竹は、虫害にかかりやすく、夏に切った竹は、色悪く、弾力無く、耐久性が著しく悪いとのこと。
この記述から考えると、台湾の気候は日本の春・夏といったところなので、虫害に対して防腐処理し、竹の材質からも劣ったものといえるのではないでしょうか。
四国の竹屋さんに聞いた話では、国産の竹は伐り旬から3月までの間は薬剤処理しないで出荷していて、4月以降は防虫処理を行っていると言っていました。
ちなみに、孟宗竹の伐り旬は盆明けから1ヶ月程度の間だそうです。

竹を割るときに、専用の道具があるということ。
道具は、この記事を参照。「小舞竹つくりWS ~金指原の家~
そんなことすら知りませんでした。

今回、輸入竹の話に始まり、国産の竹探し、山に入っての竹の伐採・運搬、竹割り(小舞竹つくり)を、運に恵まれ(?)体験することができました。
土壁一枚つくるのに、思いのほか大変なことに気づかされました。
でも、土壁をつくる(その原材料を入手できる環境)が、日本の原風景のような気がして、ますます、その重要性を感じたのでした。


ところで・・・
金指原の家は、建設地が浜松なのですが、左官屋さん曰く「浜松の竹屋では、いい竹が手に入らない」ということで、豊橋の竹屋さんから竹を買っているということなのです。
そこで、豊橋の竹屋さんから見積りをとったのですが、その見積りが
国産 小舞竹 10尺x50本 4700円(税抜・竹屋さん渡し)
台湾産 小舞竹 10尺x100本 3250円(税抜・竹屋さん渡し)

僕が探してきた四国の竹屋さん(ここ
国産 小舞竹 10尺x100本 2625円(税込)
送料は、ある程度数量があれば、1束1000円以下になりそうとのこと。
送料1000円として送料込みの1束の価格が3625円、輸入品が税込みだと1束3412円になるので、竹屋さん渡しで豊橋まで竹を買いに行くことを思うと、四国の竹屋さんから国産買っても決して高くない価格だと思いました。

その竹屋さん曰く、他の用途に使うことのできない傷がついたものなど、小舞竹に使わないと捨ててしまう竹を、割竹にしているそうで、ある程度手広く商売しているなど、地域と条件次第では輸入品に対抗できるくらいの価格差になってきていることを実感しました。(もっとも、相手が中国産だと、まだまだなのでしょうが・・・)
グローバル化の波に押されて、”たじたじ”の日本経済や日本文化ですが、これからは、少し違っていくような気もしてきます。

“小舞竹について” への2件の返信

  1. 屋久島遡行人さま
    はじめまして、こんにちは。
    建築材料の地産地消を推進している僕たちには、地元の杉を使った土壁の家の建築のご相談、感激です。
    土壁は、自分でできる部分が多くて、出来上がっていく充実感があるので、おすすめです。
    もし良かったら、今後の、いえづくりの状況も教えてください。
    では、家づくり、頑張ってください。

  2.  初めましてこんにちは。
     屋久島で、この春から、地元の杉を使った家を建てようとしている屋久島遡行人と申します。壁は土壁を採用するつもりで、いろいろ調べていてこちらのにたどり着きました。
     今の僕にとって、ものすごく役に立つ情報があふれていて、大感謝、大感激です!
     こちらのサイトに刺激されて、せっかくなら地元の竹を小舞竹に使いたいと思い、今週末自分たちで近所に真竹を伐りに行くことにしました。で、その前に、一つ教えてほしいのですが、家の坪数に対して、どの位の本数の竹が必要だったでしょうか?もし足りなかったら、村川商会さんで補充するとして、ざっくりでいいので教えていただけませんか?
     よろしくお願いします。

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